生活習慣や環境の改善を行っても効果が出ない場合は、睡眠薬による薬物療法を行う。脳の活動を鎮める働きのある薬、睡眠・覚醒のリズムを整える作用のある薬、脳の過剰な覚醒状態を抑える薬などがある。4タイプの症状にあわせて、例えば入眠障害には超短時間型や短時間型、早朝覚醒には中間型や長時間作用型など、4パターンの時間型に適した処方がなされる。睡眠薬は服用を始めると手放せなくなるのでは、量が増えるのでは、副作用が心配、という印象を抱く人も多いが、現在の睡眠薬は副作用も少なく自然に近い眠りへと導く。通院患者の約20人に1人が医師の指導の下、安全・適切な方法で睡眠薬を服用している。だが、市販の睡眠薬はアレルギー薬の副作用である眠気を利用したもので、不眠症治療の効果は確認されておらず、短期間の使用限定となっており、長期間用いてはいけない。また、睡眠に対する誤った考え方や生活習慣を修正する認知行動療法や不眠へのとらわれを打破する森田療法も有効だ。